紋とは何か?それは家の印のような家系を示す大切なものです。
紋をたどると祖先の顔がみえてくるといわれています。
紋のはじまりは、貴族が調度品に分様をつけ他と区別したのが始まりのようです。名札のような存在ですね!
庶民に紋が広がったのは、苗字がつけられてからのようです。
ですので、苗字に繋がった紋をつける方が多いです。
例えば、藤がつく苗字ですと「下がり藤」の紋が多かったりします。
紋の種類
紋の図案は何万種類以上あると言われています。
同じ「藤」の紋でもよく見ると若干違ったりしますので、紋を入れてもらう時は名称だけでなく、図案を持っていきこの通りにとお願いされた方が良いです。
紋の形の種類・紋の入れ方・紋の技方と表現しましょうか・・・
紋には、「日向紋(ひなたもん)」と「陰紋(かげもん)」があります。
また、布地の色を染め抜く「染め抜き」と色を染める「摺り込み(すりこみ)」と刺繍で紋を作る「縫い」があります。
※ 五つ紋を入れる場合は最も格の高い「染め抜き日向紋」で入れます!!
紋の入れ方にも格が!
前途しましたように、紋の入れ方・技法の違いにより格も変わります。
最も高い格の入れ方を順に、
「染め抜き日向紋(ひなたもん)」 最高格の入れ方になります。紋の形を白く染め抜く方法です。黒留袖・色留袖・黒紋付に入れるのが一般的です。
「染め抜き陰紋(かげもん)」 紋の図柄を白い線で表したものです。
「摺り込み日向紋(すりこみひなたもん)」 染め抜き紋の次の格になります。型紙を当てて染料を染めます。着物の地の色が濃いものには使用できません。薄い色の着物の時に用います。
「縫いの陰紋」 染め抜き紋・摺り込み紋の次の格になります。紋を刺繍で表します。一つ紋の時のみに用いられます。刺繍なので柔らかい印象になりますね!
「女紋」 母から娘など女系から女系へと伝える紋のことです。地域により考え方が異なるそうです。
わざわざ婚家の家紋に入れ替えるのもコストがかかるのでありがたい考え方ですね!!
我が家にも母の実家の紋・母の嫁ぎ先の紋など数種類の紋が入った着物がありますが、私はそのまま着用していますよ!!
「洒落紋」 家紋ではなく、干支やお花など自由に自分の好きな柄を刺繍や染めで用いられた紋のことです。
向かい干支の刺繍を入れると縁起が良さそうですね!
※向かい干支とは
裏干支とも呼ばれており、干支を円に並べた時に自身の干支の向かいにくる干支のことです。6つ先の干支を指します。
例)辰→戌
対極にあるので、お互いに足りないものを補い高められるので昔から向かい干支を大切にする習慣があったそうですよ!
着物の紋の数と格
着物の格の見分け方!でも少し説明しましたが、紋の数の意味をもう一度詳しく説明しますね。
紋の数は五つ紋・三つ紋・一つ紋があります。
着物の背縫いに背紋を入れると 一つ紋。
背紋+両袖に袖紋を一つずつ入れると 三つ紋。
背紋+袖紋+両胸に抱き紋を入れると 五つ紋。
数が多い方が格が上になります。
黒留袖にはどの紋?
既婚女性の第一礼装。
染め抜き日向紋にて五つ紋を付ける決まりです。
ですのでそれ以外の一つ紋・三つ紋はないです!
新郎新婦のお母様が着ている着物ですね!
※第一礼装とは
最も格の高い装いのことです。正礼装とも言います。
色留袖にはどんな紋?
色留袖は一つ紋・三つ紋・五つ紋と付けられ、それによって格が変わります。
一つ紋 準礼装より下の格
三つ紋 準礼装の格
五つ紋 黒留袖と同格の第一礼装
※準礼装とは
セミフォーマルとも言われる正礼装に準ずる装いのことです。
訪問着にはどんな紋?
一つ紋・三つ紋 準礼装
最近は訪問着に紋を付けないことも多いです。
私も訪問着には、紋を付けていないですし、見かけたこともあまりないですね!!
色無地にはどんな紋?
色無地はその名の通り無地ですので、紋で格を変えているそうです。
一つ紋 略礼装
三つ紋 準礼装
しかし、今はほとんどが一つ紋ですね!!
私は譲り受けた五つ紋の黒留袖と色無地に入れている一つ紋しか、紋を入れている着物はありません!
昔と現代では色々と考え方などが変わってきているのでしょうね!!
※略礼装とは
準礼装よりも格が下の装いのことです。
まとめ
上記以外の紬や小紋にも紋を付ける事で格が変わってきますが、あまり紬や小紋にあえて紋をつけて格を変えたりはしていないのでが現状のようです。
もしつけるならば、「洒落紋」を付けてオシャレとして楽しむのが多いようです。
紋を付けるのも費用がかかりますので、私は色無地・黒留袖しか紋入りの着物は持っていません!
紋付の色無地は、訪問着までいってしまわない一歩手前の格が欲しい!という時にとても便利です。
私の経験談ですが、茶道の炉開きやお茶会のアシスタントをする際は、華やかになり過ぎず、かつ、格が高いものという事で、紋付の色無地が指定されています!!
また、レンタルの場合の紋付けも今はシールで貼り替えができるそうなので、使用頻度の低い黒留袖等はレンタルもオススメですね!!
着物をもう着なくなり買取に出される場合は、やはり紋なしの方が重宝されるようですよ!!